上遠野浩平『恥知らずのパープルヘイズ 』を読み終えての感想(※ネタバレなし)

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上遠野浩平『恥知らずのパープルヘイズ 』を読み終えての感想(※ネタバレなし) 

人生においてもっとも後悔する瞬間は道を「間違えた」時ではなく、道を「選ばなかった」時ではないでしょうか。

パンナコッタ・フーゴという男はまさに「選ばなかった人間」。『ジョジョの奇妙な冒険』の登場人物は善であれ悪であれ皆一様に「己の信念」を持って生きていますが、フーゴからはそういった「内に秘めたる強い意志の力」が全く感じられません。それは己の写し身ともいえるスタンド「パープル・ヘイズ」をまともに制御できないことからも明らかです。

なまじ頭の回転が早いばかりに物事に対して常に「正解」を求め、いざという時に尻込みしてしまう。だからこそミスタやアバッキオ、果てはナランチャまでもがブチャラティと運命を共にする『覚悟』を決めた”あの場”で「出会ったばかりの女のために命を賭けるなどどうかしてる」と一人正論を並べ立て、足を踏み出すことができなかったのです。

もしあの時の彼が確固たる信念に基づいてブチャラティと袖を分かったのであったならば、それほど後悔することもなかったと思います。ひょっとすると当初の構想通り、敵としてジョルノ達の前に立ちふさがることもあったかもしれません。

しかし彼の場合は敵になることすら出来ず、物語から完全に姿を消してしまいました。ブチャラティの元を離れたことで結果的に死の運命に巻き込まれることはありませんでしたが、夢や希望を失い、かつての仲間に顔向けもできない彼は果たして「生きている」といえるのでしょうか。

『恥知らずのパープルヘイズ』はそんな人生の大切な岐路で一歩踏み出せなかった男・フーゴが悔やみ、迷い、そして再び踏み出すまでの道程を綴った物語です。

人間誰しも大なり小なりフーゴのように「あの時ああしてれば」と後悔することがあるはず。ゆえに非常に感情移入しやすく、物語の主人公としてはこの上ない逸材といえます。ラストは思わず目頭が熱くなってしまいました。

チームを離脱したフーゴがその後どうなったかというのは誰しも気になるところでしょうし、著者の文章力および「ジョジョ力」も相まって、まるで漫画を読んでいるかのようにスイスイ読み進められます。

予備知識なしで読んだほうが絶対楽しめるのでネタバレは避けますが、五部のキャラはもちろん他の部に出てくるあんな人やこんな人、あの「アイテム」も登場してジョジョラーならページをめくる度にニヤニヤすること間違いなし。

非常に評判が良かったので相当ハードルを上げて読み始めたのですが、余裕でそのハードルを越えてきました。小説をオフィシャルストーリーと認めるのは賛否あるところだと思いますが、この作品に関しては正式に「黄金の風の後日談」と認定しても誰も文句言わないのではないでしょうか。

第五部が特に好きな方はもちろん、ジョジョが好きな万人にオススメしたい作品です。普段小説なんてを読まないという方も物怖じせず、是非「一歩踏み出して」みてください(笑)。絶対、後悔しませんから。

内容とは無関係ですが、カバーは鮮やかな銀色でカバー下には別イラストが描かれています。
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擦れて傷付きやすいカバーなので美品を求める方はネットで購入したほうがいいかもしれません。

お礼

にゅーあきばどっとこむ』様、『よつばとフィギュア』様、

スタチューレジェンド 第7弾 ジョジョの奇妙な冒険 第四部 虹村形兆&バッド・カンパニー レビュー

ご紹介頂きありがとうございます。


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私も恥知らずのパープルヘイズ、読みましたッ
読み始めたら止まらなくなり、買った当日に読み終えてしまいましたw


個人的には、期待をはるかに上回る出来だと思いました
正直、5部の中のフーゴはあまりいい印象は持てず、悪く言うと「ヘタレ」のような印象がありましたw
でもこの小説を読んで、フーゴに対しての印象も変わりました

私と同じようにフーゴに対して悪印象がある人は是非読んで欲しいですねw

上遠野浩平先生の文章表現はマンガを読んでるかのように頭にイメージが浮かんできますし、
スラスラと読めてしまいます^^

第二、三段ともに気になります^^
[ 2011/10/18 18:07 ] [ 編集 ]
これを読むとフーゴに対してのイメージが大きく変わりますよね。
「成長する主人公」という面においてはジョニィに通ずるものがあると感じます。
作者独自の解釈も多分に含まれてはいるんですが、全然違和感覚えることなく
すんなり「なるほど」と納得出来たのは上遠野先生のジョジョに対する強い愛の賜物でしょうね。
ミスタの「四番目」の件については目から鱗でした(笑)。

残りのお二方の小説も楽しみですが、一発目にこれだけクオリティの高いものを出されると
書き手としては物凄くプレッシャーかもしれません(笑)。
[ 2011/10/18 19:53 ] [ 編集 ]
当時フーゴはまさか、あのままフェイドアウトするとは思っていなかったので衝撃を受けたのを覚えています。

普段小説はフルメタルパニック以外はほとんど読まないのですがwこれは発売後すぐ買って読んでしまいました。
やはりその後のフーゴが気になっていましたので。
この作品は物凄く良かったですね、色んな所で「漫画を読んでいるように臨場感が湧き、サクサク読めた」とのコメントがありましたが、自分もその通りに感じました。
確かにこの後の作者はプレッシャーかかりそうですねw

パープルヘイズが超像可動で出るのが非常に楽しみです!^^
[ 2011/10/20 23:26 ] [ 編集 ]
小説だからと敬遠してる方にも是非読んでほしい一冊ですよね。
勿体ないのでゆっくり読もうと思ったんですが、気付いたら読み終わってました(笑)。

超像可動のパープル・ヘイズ、ほんと楽しみですねー。
ある意味5部最大の目玉ではないでしょうか(笑)。
ゆくゆくはスタチューレジェンドで小説のオリキャラ達のリリースも期待してしまいます。
[ 2011/10/21 00:01 ] [ 編集 ]
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