『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』感想

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『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』感想 

荒木飛呂彦先生のエッセイ『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』を読みました。

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どんな本?

荒木先生といえば映画好きとして有名です。『ジョジョ』作中にも映画のエッセンスを数多く取り入れていることはよく知られていますが、本書ではそんな荒木先生が「サスペンス映画」の魅力を具体的な作品を挙げつつ200ページにわたって語っています。

映画への深い造詣と漫画家ならではの分析眼、そして「面白さ」に対する貪欲なまでの探求心により展開される持論はそのひとつひとつに説得力があり、映画ファンならずとも紹介されている映画をすべて観たくなること請け合いです。

参考までに、以下は本書に掲載されている「荒木飛呂彦が選ぶサスペンス映画 Best20」のラインナップ。

    1. ヒート
    2. 大脱走
    3. 96時間
    4. ミスティック・リバー
    5. 許されざる者
    6. サイコ
    7. 天国から来たチャンピオン
    8. シュレック
    9. ファーゴ
    10. ダーティハリー
    11. ボーン・アイデンティティー
    12. シティ・オブ・ゴッド
    13. 激突!
    14. アイズ・ワイド・シャット
    15. バタフライ・エフェクト
    16. マスター・アンド・コマンダー
    17. 運命の女
    18. フロスト×ニクソン
    19. バウンド
    20. 刑事ジョン・ブック 目撃者
    21. (次点)レザボア・ドッグス

自分はそれほど映画に詳しいわけではありませんが、それでも半数以上は知っています。前著『ホラー映画論』は扱うジャンル自体がカルトなため取っつきにくさが否めませんでしたが、今回はすんなり入り込めるのも魅力でしょう。

上記ラインナップの中には「これってサスペンスなの?」と疑問を呈する作品も混じっていますが、そういった作品を「何故あえてサスペンスとして挙げたのか」についても本書を読めば理解可能で、それもまた”読みどころ”のひとつだと思います。

どんな映画が紹介されてる?

本書で名前が挙がるのは上の21作品だけではありません。Best20に入っていない作品として、例えば『ジュラシック・パーク』や『ジョーズ』『タイタニック』などについても独自の視点で「サスペンスとしての魅力」が語られています。作品だけに留まらず、スピルバーグやデ・パルマといったクリエイターにもスポットが当てられ、荒木先生の映画へのディープな知識や愛がひしひしと伝わってきます。

……と、こう書くと有名な映画ばかりしか紹介していないように思われるかもしれませんが、決してそうではありません。Best20の中にもマイナー作品がチラホラ混じっているように、あまり知名度が高くなかったり、一般的な評価の低い作品のこともしっかり書かれています。B級映画ファンはご安心を。

映画に限らずマニアというのは極端なものでメジャーを貶してマイナーを持ち上げる傾向にありますが、荒木先生の場合は「メジャーでもマイナーでも面白いものは面白いし、駄作は駄作」というフラットなスタンスを貫いているのが素敵だなと感じました。

ただ『インデペンデンス・デイ』大統領が自ら戦闘機に乗り込んで宇宙人と戦う超展開を「思わず泣いてしまった」と語るくだりは流石に笑ってしまいましたが(笑)。いや、良い映画ですけどね。登場人物が大真面目に無茶苦茶な事をやるのが可笑しい、というのは『ジョジョ』にも通ずる部分があるかもしれません。

ジョジョとは関係あるの?

上でも書いたように『ジョジョ』という作品は映画の影響を多分に受けているため、本書にもそういった記述が散見されます。

たとえば荒木先生曰く「男が泣けること」が名作サスペンスの条件とのことですが、その「男泣き」を受けて誕生したのがSBRに出てくる「男の世界」でおなじみのリンゴォ・ロードアゲインなのだとか。確かにあの哀愁を感じさせる背景、世界観は泣けます。

他にも漫画で応用した映画演出の具体例なども挙げられているので、本書を読めば「あのシーンはあれを意識してたのか!」「スリリングな展開の秘訣はこれか!」と、更に深く『ジョジョ』を読み込めるようになると思います。

で、面白いの?

『ジョジョ』が好きということは作者である荒木先生の感性と少なからず一致しているわけですから、本書でオススメされている映画はジョジョファンなら楽しめる可能性が高く、下手な批評家のレビューより遥かに参考になります。それだけでも本書を手に取る価値はあるのではないでしょうか。

とにかく、本書を読めば観たことのない作品は観てみたくなり、観たことがある作品でもまた観たくなること間違いなし。自分の場合、観たことのない作品としては『96時間』『バウンド』『デクスター』などが気になりました。96時間は続編ともども早速借りてきたぐらいで、近々観るつもりです(続編は先生曰く「前作超えはしていない」)。

あとヒロインが「ブスかわいい」「不気味」「天然の超強力悪女」「女優の素性が謎」「悪魔に取り憑かれてるとしか思えない」とボロクソ書かれていた『倦怠』というエロティック映画も違う意味で気になりました(笑)。こちらもいつか観てみようと思います。


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おひさしぶり~。
なかなかおもしろそうな本ですね。
今度読んでみようかな。

バウンドはマトリックスの監督の昔の作品だったけ。それなりに面白かった記憶があります。

キューブリックのアイズワイドシャットは監督本人が完成前におなくなりになって、死ぬ前に「駄作だ」と言ってたなどとの話あるけど、自分は結構好きな映画ですね。

長らく映画見てないけど、また見てみようかな。
[ 2013/06/02 22:13 ] [ 編集 ]
おひさしぶり~。
映画好きなら尚更楽しめる本だと思うので、のんさんにもオススメ。
バウンドはそうらしいね。
低予算ながらこれだけのものを作る監督はやはりすごい、と書かれてた。
アイズワイドシャットは気になる作品のひとつだけど、なかなか観る機会が。
色んな逸話が一人歩きしてるけど、実際見た人の評価は結構高いみたいだね。
[ 2013/06/03 02:00 ] [ 編集 ]
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